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第20章 【スーツでお仕事】

はい。もう前回から「幻」って言っちゃっているオチの見える展開ですが、
お付き合いください。
サラリーマン生活を半年程しました。
どんな感じだったかご紹介します。
まず、スーツ。暑過ぎました。熱過ぎるんです。
え?
そんなの、みんな我慢して着ているんだよ!
ですよね。
押忍。
分かっております。
今までぬくぬくしていたビニールハウスではありましたが、
穴空いて外気が入ってきまして、
ほんのすこーし世間が分かってきた私でございます。そんな簡単に文句は言いません。
実際の私を見たことのある人なら分かって頂けると思いますが、
私の汗の量は尋常じゃないです。特にこのサラリーマン体験入門の時期は夏です。
シャワー直後か!ってくらいの汗を常にかいています。
電車通勤でスーツが暑いのなんか我慢します。
英会話の授業中、汗が垂れてくるのなんかお仕事なんだから耐えます。
でもね1ヶ月も経たないうちに、
腰のベルトの部分が汗疹(あせも)でボロボロなんです、肌が。
気合いとか我慢のレベルではないんです。
病院行かないといけないレベルなんです。
そして、書類。
教科書や生徒の名簿リストの書類が私の腕の汗と、顔から垂れる汗でビチャビチャです。
読んでいて気持ち悪いですね。
私も書いていて気持ち悪いです。
すみません。
この時の私の生徒の皆様も、
授業で私が言っていることなんて半分くらいしか聞いてないですからね。
私の汗の量みて、「なんだこりゃ!」ってそっちに興味津々。
それでも、クラスは行われるので、バスタオル片手にクラスを指導し続けました。
どうなっちゃうんだろ。この肌。ボロボロでかゆいですけど。
書類ビチャビチャですけど・・・(涙)
人にはそれぞれあった仕事っていうのがあるんですねー。
この仕事じゃないだろうなー、俺って。
そんな、私の授業でも、結構生徒の皆様が支持して下さって、
ありがたい事に「わかりやすい」とたくさんのお声を頂きました。
「あー、教えることって俺には合っているのかなー」なんて事も思い始めはしました。
指導する時に、私自身が優等生じゃないから、
分からない人の気持ち分かるんですよね。
勝った事あまり無いから(敗者っていったら大げさかもしれないですが)
できない側の気持ちになって物事を伝えることは苦手じゃないのかもしれないです。
いろいろ、工夫を重ねる私のクラスの評判は悪くなかったです。
スーツの汗疹の為に良い皮膚科を見つけて、書類の汗濡れ対策の為に、
防水の紙を見つけさえすればこの仕事で俺はいけるか!
と、思った頃、英会話学校の社長に呼び出されました。
「工夫しないでください。マニュアル通りにやってください」
と言われて、条件反射で動いてしまいました、バカなので。
キックボクシングで言えば、
相手のジャブに合わせて右ローキックを蹴るように。
相手の左ミドルキックに合わせて右ストレートを踏み込んで打つように。
フットボールで言えば
DEはピッチのサインが出ている時にオプションプレーがきたら、
すぐさま、QBにタックルに行くように。
(格闘技ファンや、アメフトファンには最高の例えです)
社会では筋肉とかどうでもいいって事など忘れ、条件反射でした・・・
「なら、辞めます。お世話になりました」
チェーン店のハンバーガー屋で特製ハンバーガーを作った私が悪いんです。
だけど、この時は拒絶反応を反射的に起こしてしまいました。
「裁判でお前を訴える!」と会社を怒らせて私は退職です。
はい、半年間のサラリーマン生活終了~♪
ですが、ほんの短期間しか教えなかったのに、
私のお別れ会を30人くらいの生徒さんが企画してくれました。
とても嬉しかったです。
次にどこへ行くかも分からない私の為のお別れ会。
みんなで買ってくれたプレゼントは「バスタオル」でした(笑)
今でも毎日使っています。
社会人で英会話を学んで自己啓発している人は、
経済的に社会では上の方にいる人達です。
そんな人たちが企画してくれる送別会だからとっても豪華なところで開いてくれました
主役の先生が来月の家賃も払えるか分からない状態だとは誰も知らず。
「今日は朝まで飲むぞー」なんてみんなで盛り上がっている時でした。
私の電話が鳴りました。
それはキックボクシング引退の頃から次の仕事の事を相談していた方からでした。
その方曰く・・・「おい、日雇いのバイトみつかったぞ。明日午前5時○○集合!
もう向こうに話しつけてあるからな。俺の顔に泥塗るなよ。じゃーな!」ガチャ。
って今午後11時です。
私、お酒飲みながら会の主役勤めてますけど・・・(汗)
確かに私は、毎月の家賃が心配だから、
日雇いでも良いから何か仕事があれば紹介して下さいとその方にお願いしていました。
その人生の大先輩はずっと探してくれたのに、
話しつけてくれたのに、
「今回はお酒飲んでいるから、やっぱいいです」なんて、言えない・・・
何より、実際に私は今無職です。
家賃の為に仕事が必要です。
「えー、先生、もう帰っちゃうのー」と思いっきり後ろ髪を引かれ・・・
主役の私は会を後にしました。
実は、私のお別れ会をして下さった生徒さん30名中で男性3名程だけ・・・
もっとみんなと飲みたかった・・・(涙)
稼げない男にその権利は無いんですね、この星では。
んなことより、私は約5時間後に指定の工事現場にいかなければいけません!
一度帰宅して、仮眠2時間程。
キレイ目の服を着てお酒を飲んでいた私は、ジャージに着替えて、
更にさっきまで飲んでいた場所、
いや、みんなはまだ飲んでいるだろうという店のある駅を通過して田舎の工事現場に向かいました。
あの時だけは見つかりたくなかったです。
「あれ?あそこでジャージで電車乗っているの先生じゃない?どこいくのー!」
なんて恥ずかし過ぎます。
そして、眠かったです。
さっきまで会の主役を務めていた先生は6時間後、
工事現場で、東南アジアから来た不法滞在の上司に、
「そこじゃねーだろー。こっちに置くんだよ」
「へー、すいません(汗)」ガレキの中、荷物を運びました。
釘やら、瓶の破片やら一歩間違えれば大怪我の工事現場でしたが、
この時の私は会社を退職して、すぐだったので、保険証を持っていませんでした。
万が一があっても病院に見てもらえない状態での工事現場作業、怖かったです。
かなり危ない橋を渡りましたが、
2週間の工事現場での下っ端生活でなんとかその次の月の家賃を払いました
さて、この工事現場の仕事を紹介してくれた方がまた次への一歩を手助けしてくれました。
「知り合いの会社で、ホテルのジムインストラクターで英語を話せる人を探しているけど、どうだ」
どうだも何も、はい!お願いします!
しかありません!!!
東京では誰もが知っている有名ホテルです。
そんなところでジムのインストラクターなんて最高じゃないですか!
もう2005年8月。
e-kidsまで2ヶ月なのに、ここからがまだ続きます。
現にe-kidsがあるってことは、このジムインストラクターのお話しもダメだったって事ですね。
何をしでかした?
第20章【スーツでお仕事】
最後まで読んで下さりありがとうございました。
2005年夏。ここからがe-kidsまで急展開です。
第21章【ホテルでインストラクター?】もお楽しみに!
窪田豊彦 184cm 96kg
(もう100kgにはならない感じです)
とよ先生が汗っかきじゃなくて、スーツでなんとかなっちゃっていたら、
e-kidsは生まれていなかったって事ですね。
「工夫しないでください」「マニュアル通りにやってください」
と、言ってくれた会社にも感謝です。
最初から決まっていたのかなー、e-kids。